
はじめに
もし明日、誰かに
「本当に好きなものはなんですか?」
と聞かれたら、
私は迷わず答えられるだろうか。
そんなことを考えた時期がありました。
私たちは大人になるにつれて、
正解を探すことが上手になります。
効率を考え、失敗しない方法を覚え、
人からどう見られるかを気にするようになる。
それは生きていくために必要なことでもあります。
けれどその過程で、
少しずつ遠ざかってしまうものもあるように思います。
理由なんてなくても夢中になれたもの。
誰かに理解されなくても大切だったもの。
ただただ、好きだったもの。
子どもの頃の私は、虫やザリガニを捕まえたり、
秘密基地のような場所を見つけたりすることに夢中でした。
大人から見れば何でもないものでも、
私にとってはかけがえのない宝物。
そこに理由はありません。
ただ、「好き」だったのです。
私は今でも、
その感覚をとても大切にしています。
七虹が生まれるまで

大人になり、
「本当の自由とはなんだろう。」
「自分らしく生きるとはどういうことだろう。」
「本当に大切なものはなんだろう。」
そんな問いについて
深く考えるようになりました。
七虹(ななこ)とメタふれんずは、
そんな私の中にあった問いや感情から生まれた存在です。
何年も前から描き続け、
その先にある世界や物語まで想像しながら
少しずつ育ててきました。
そして七虹を描いているうちに、
今度は私自身が
七虹から問いかけられているように
感じるようになりました。
「本当に好きなものはなに?」
「本当に大切なものはなに?」
その問いについて考え続けた先で、
たどり着いたテーマが
「自由とこだわり」でした。
なぜ「自由とこだわり」をテーマにしたのか

私にとって自由とは、
好き勝手になんでもできることではありません。
自分で選ぶこと。
そして、
その選択の先にあるものを
自分で責任を持つことです。
何かを選ぶということは、
同時に別の可能性を手放すことでもあります。
誰かに決めてもらった方が、
楽なこともあるかもしれません。
それでも、
誰かに決められた道ではなく、
自分で選んだ道を歩いていく。
私はそこに、自由の美しさを感じています。
そしてもうひとつ。
私にとって「こだわり」とは、
「自分という人間を形づくっていくもの」
だと思っています。
何を好きだと思うのか。
何を美しいと感じるのか。
何に心が動くのか。
何を大切にしたいのか。
何だけは手放したくないと思うのか。
たくさんの人がいるこの世界の中で、
そうした小さな感情や選択が
一つひとつ重なって、
「自分」という一人の人間が
形づくられていくのだと思います。
だから、誰かと同じである必要はないと思うし
多くの人が選ぶものを、
自分も選ばなければならないわけでもないと思います。
自分だけが感じたものを大切にしていい。
誰かには理解されなくても、
自分にとって大切なら、
その気持ちを簡単に手放さなくてもいい。
もちろん、
こだわりが強すぎることで
自分自身を縛ってしまうこともあります。
完璧を求めすぎたり、
違う可能性を受け入れられなくなったり。
こだわりには、そんな側面もあると思っています。
それでも私は、
こだわりがあるからこそ、
その人だけの感性が生まれ、
たくさんの人の中にいる
「自分」という存在が
少しずつ形になっていくのだと思います。
自由があるからこそ、自分で選べる。
こだわりがあるからこそ、自分でいられる。
自由に選び、
選んだものを大切にし、
その積み重ねによって自分自身がつくられていく。
それが、
私が「自由とこだわり」というテーマに
込めている思いです。
私が描き続ける理由
そして私は、
「自由とこだわり」を描くのなら、
私自身もそのテーマで生きてみたいと思いました。
七虹とともに歩み、
この世界を本気で描き続けていく。
それが、私自身で選んだ道です。
いつか、
「日本の絵画といえば?」
と聞かれたときに、
七虹の名前が挙がる未来を
本気で目指しています。
ただ有名になりたいからではありません。
七虹やメタふれんずを通して描いてきた、
人の心や感情そのものを未来へ残したい
と思っています。
時代が変わり、
技術がどれだけ進んでも、
人が人である限り
誰かを好きになることも、
迷うことも、泣くことも、
自分らしくありたいと願うことも
きっとなくならない。
だから私は、
「自由とこだわり」というテーマと
そこから生まれる七虹の物語を
今を生きる人だけではなく、
その先の時代にも残していきたいと思っています。
あなたへ

私の作品を見た誰かが
忘れていた「本当に好きなもの」を思い出したり
自分だけのこだわりを
もう少し大切にしてみたくなったり
ほんの少しでも、
自分で選んだ道を
歩いてみようと思えたり。
そんなきっかけになれたなら、
私にとってそれ以上に嬉しいことはありません。
七虹は、
忘れていた自分自身と、
もう一度出会うための存在です。
それが、私が七虹を描き続ける理由です。
MINAMI NAMI
