
私が作品を描くときに大切にしているのは、
「どう見てほしいか」を決めすぎないことです。
七虹の作品には、決まった見方がありません。
色を楽しんでもいいし、物語を想像してもいい。
何かを感じてもいいし、何も感じなくてもいい。
その時に見えたもの、その時に心が動いたものが、
その人にとっての七虹だと思っています。
私は昔から、同じものなのに
見るたびに違って見える不思議が好きでした。
空の色や季節の風景もそうです。
昨日まで気づかなかったものが、
ある日突然目に入ることがあります。
作品もそれと似ている気がしています。
作品そのものは変わっていないのに、
見える景色だけが変わる。
以前は気づかなかったものが急に目に入ったり、
何年も飾っていた作品の中に
今の自分に必要な言葉を見つけたり。
そんな体験ができるところに、
私は作品の面白さがあると思っています。
同じ作品でも、見る人によって受け取り方は変わります。
ある人には自由に見えるかもしれませんし、
ある人には勇気に見えるかもしれません。
その時の気持ちや置かれている状況によって、
希望に見える日もあれば、
孤独に寄り添ってくれる存在に見える日もあると思っています。
そして、そのどれも間違いではありません。
七虹の作品は、見る人の数だけ
違う物語を持てるものだと思っています。
私は、ただ飾るための作品よりも、
一緒に時間を過ごしていく作品を作っていきたいです。
毎日見ているはずなのに、
ある日突然違う表情を見せてくれたり、
以前は気づかなかったものが見えてきたり。
その時々の自分を映し出しながら、
少しずつ関係が深まっていくような作品です。
そんな作品は、人生の時間と共に
少しずつ育っていくのだと思います。
そして、そうして作品と向き合っていると、
人によって見つけるものが違うことにも気づかされます。
七虹の世界には、自由やこだわり、
勇気や希望、愛や孤独など、
さまざまな想いが
小さな宝探しのように散りばめられています。
けれど、それらを見つけようと
頑張る必要はありません。
ただ作品の前で少し立ち止まり、
自分の心に耳を傾ける時間が生まれたなら、
それだけで十分です。
忙しい毎日の中で、自分が何を好きだったのか、
本当は何を大切にしたかったのかを
思い出すきっかけになれたら嬉しく思います。
私は何が好きなんだろう。
本当に大切にしたかったものは何だったんだろう。
今、自分で選んだ人生を歩けているだろうか。
そんな問いが、ふと心に浮かぶ時間も、
ときには大切なのかもしれません。
答えはすぐに見つからなくても構いません。
人生には、急がなくていい問いが
たくさんあるからです。
部屋に飾った作品が、ある日は勇気になり、
ある日は癒しになり、
またある日は何も語らず静かに寄り添ってくれる。
そんなふうに、それぞれの人生の中で
少しずつ違う意味を持ちながら、
長く一緒に歩んでいける存在になれたら嬉しいです。
私は、作品が完成するのは描き終えた瞬間ではなく、
誰かと出会った瞬間だと思っています。
作品はそこで初めて、
その人だけの物語を歩き始めるからです。
